はじめに
nora NYAI-TE CLUB.のNever Dawnをリリースした。
1~2週に1曲くらいのペースでDTMに打ち込んでいるので、制作時に考えていたことをすぐに忘れてしまう。数年後に聴いたときに見返して反省できるように備忘録的にプロセスを記録する。
曲を聴いていただければ理解いただけると思うが、全く一般的なポップスを作るようなアプローチではないので多くのDTMerの参考にはならないし、音楽理論を極めた方には反感を買う部分もあると思うが、むしろ教えて欲しい。
制作のプロセス
nora NYA-ITE CLUB.自体がハウスを作りたいというところからスタートしているので、リズムはイーブンキックで固定した。
今回はコードの響きを重視して、そこに全てのリードパートを重ねていくような手順で制作した。
リファレンス
リファレンスを用意することでやりたいことと実力との差が見えるので、毎度何かしら用意する。
コードとキー
CM7/E→FM7/A→A#M7
Key:C
CM7/EはCM7構成音(Root)C-(3度)E-(5度)G-(7度)Bの展開形、FM7/AもFM7の構成音(Root)F-(3度)A-(5度)C-(7度)Eの3度をルートに展開した形になる。
個人的な感覚でしかないが、ルートと3度を入れ替えたコードを使用することで、地に足がつかない響きとなって浮遊感や陶酔感を演出できると思っている。シューゲイザーバンドでギターを弾いていた時も感覚的にあえてルートをピッキングせずにこの構成をとっていた。
ハウスのようにミニマルな繰り返しが軸となっていて、曲が展開せず和音が解決しなくても成立するジャンルには特に相性が良いのではないだろうか。
A#M7はキーから外れたコードで、理論上使用することができないが、構成音が(Root)A#-D(3度)-F(5度)-A(7度)となるため、ルート音以外がCメジャースケールとの相性が比較的良い構成となっている。
そしてこの曲についてはコードトーンを多用しているため、Cのメジャースケールと考えて重ねたメロディはほぼない。
ブラスパートに関してはオブリガード的な入り方をさせるため、A#M7の構成音とCメジャースケールの重なる部分を使用している。
一方でボーカルパートに関しては、あまりにも複雑なメロディラインとなると、歌うことが困難になってしまうため、なるべくスケールから外れないようにしている。
楽器構成
ジャズ的な構成としたかったので、アナログ楽器やヴィンテージ系を多くセレクトした。
コードを繰り返し鳴らすパートは浮遊感・陶酔感を重視してアタックの少ないものとしたかったため、定番のMk1を使用した。
ブラスパートはKOMPLETE付属のSession Hornsを使用した。ブラスに関しては演奏経験がなく、パート分割ができないので、Session Hornsは非常に重宝している。リアル路線の楽器は演奏経験や聴取経験によって事実上使用できる音源が制限されてしまうので、精進が必要だと感じている。
また、ブラスに関してブラス系のプリセットのシンセサイザーを重ねることで、ニュアンスを付加している。小さくRchで鳴っている。
今回はリードベースをシンセにしたくなかったため、エレクトリックベースとし、KOMPLETE付属のSession Bassistを使用した。基本的なベースラインがプリセットされていて、たまにしかエレキベースを使用しないDTMerにはおすすめできる。僕はスラップ奏法があまり好きではないのだが、今回は少しだけ使ってしまった。
サブベースにはableton標準のoperatorを使用している。Mk.1に馴染むように音を作って重ねた。
ピアノはWavesのGrand Rhapsody Pianoを使ったが、これは使い勝手が良い音源ではなく、むしろおすすめできないのだが、単にこれしか持っていないだけである。
キックはKONTAKT付属の808系を使用し、abletonのDrumBussエフェクトをかけて太さを追加している。最終的にもっとパワフルにした方が良かったと後悔。
ハイハットは、Studio Drummerを複数使用してループを作り、Foley系のサンプルを細かく切って部分的に重ねている。
スネアはFoley系の音源を3種類重ねて調整した。
レコーディング
今回生音を使用したのはボーカルとギターのみ。普段からあまり生音を重視していないので、バンドものをやりたい人の参考にはならないが、たまに聞かれるので以下の通り。
ボーカル用機材
- AKG C214
- Belden 8412
- Solid State Logic SSL2+
ボーカルプラグイン
- waves Tune
- waves Vocal Rider
- waves H-Comp
- brainworx bx_console Focusrite SC
- Valhalla Super massive
- Exponential Audio Phoenix Reverb
- 他、ableton標準エフェクト
などを今回は使用していた。曲によってプラグインは都度変わる。
ギター機材
- GRETSCH ELECTROMATIC G5420
- OYAIDE FORCE’77
ギター
- positivegrid BIAS FX
別にプロでもないので、ギターに関してはリビングルームに置いておいて弾きたくなるようなギターが一番ちょうど良いギターだと思っている。
終わりに
今回は作曲にフォーカスしすぎて、ミックス、マスタリングでは後悔が残る部分もある。リファレンスと比較すると、もう少しソリッドでダンサブルなサウンドにしたほうが良かったはず。
リファレンスを集める→作る→リリース→反省点の洗い出し、を繰り返すことで今後の技術向上の糧にすることにしたい。
他方、今回iTunes日本ハウスチャートで1位を獲得できた。聴いてくれるリスナーあっての活動なので、感謝をお伝えしたい。